カブトムシ

カブトムシ
分布[編集]本州島以南から、台湾島、インドシナ半島、朝鮮半島、中国大陸まで分布する。北海道島には元々分布していなかったが、人為的に持ち込まれたものが1970年代から国内外来種として定着している[1]。標高1500m以下の山地〜平地の広葉樹林に生息する。日本では江戸時代から農耕利用目的で全国的に育てられてきた落葉樹の二次林に多い。 形態[編集]「昆虫の王様」とも呼ばれ、クワガタムシと並び人気の高い昆虫である。体長はオス30-54mm(角を除く)、メス30-52mmほどである(下記参照)。かつては日本最大の甲虫とされていたが、1983年に沖縄本島でヤンバルテナガコガネが発見され、その座を譲った。 オスの頭部には大きな角があり、さらに胸部にも小さな角がある。この角は外骨格の一部が発達したもので、餌場やメスの奪い合いの際に使用される。ただし、角の大きさには個体差があり、体格に比例して連続変化を示す。また、角は長いほどオス同士の闘争の際に有利になる反面、タヌキやハシブトガラスといった天敵に捕食されるのを避けるには短い方が有利であることが研究で明らかになっている[2]。角の大きさは、幼虫時の栄養状態の優劣と、遺伝により決定される。クワガタムシの一部の種のような非連続変異やコーカサスオオカブトのような体格に比例しない長短変異は示さない。 カブトムシはおもに広葉樹樹幹の垂直面で活動し、付節先端の爪のみが樹皮上での占位に使用される。闘争に際しては、専ら相手をテコの原理で樹皮から剥がして投げ飛ばす戦法を用い、執拗な追跡や殺傷を行わない。対照的に東南アジアのコーカサスオオカブトや南米のヘラクレスオオカブト等は、比較的水平に伸びた太枝や大型草本上で活動し、コーカサスオオカブトは闘争においてしばしば他昆虫や交尾を拒否した雌を殺害する。カブトムシの勝敗決定は飼育環境下でも明解である。なお温和なカブトムシの種でも狭い飼育ケース内でのオス同士の格闘では前胸部と中胸部の間に角をこじ入れられ、一瞬にして切断されてしまうことがあるので注意が必要である。 カブトムシ メス大きさ[編集]以下は角の先端から上翅先端までの長さを上翅から飛び出した腹は含めずに頭を下げて計測した大きさで記す。野外では80ミリを超える個体はやや少ないが、飼育では幼虫期間に餌をより多く与えることにより80ミリに達する成虫を育てるのは難しくない。しかし85ミリ以上を育てるのは難しい。 ギネス記録は、飼育では88.0ミリ(2015年)、野外では87.3ミリ(2012年)。ただし、野外での記録は標本状態での記録であり、飼育での記録は、生体の記録である。(※:一般的に標本状態よりも生体の方が大きい。) 2015年6月、俳優の哀川翔が飼育したカブトムシが88.0ミリを記録し、ギネス世界記録が更新された[3]。 亜種[編集] Trypoxilus dichotomusAllomyrina 属のカブトムシは2種、8亜種がいる。一部飼育用の本土産カブトムシが沖縄本島で逃げて定着し、固有亜種の生存を脅かしている。 タイリクカブトムシ Trypoxylus dichotomus dichotomus (Linnaeus,1771) 中国大陸・朝鮮半島ヤマトカブトムシ ( カブトムシ ) Trypoxylus dichotomus septentrionalis Kono,1931 - 本州・四国・九州・佐渡島・壱岐・対馬・五島列島・平戸島・沖縄本島(人為的)北海道(人為的)オキナワカブト Trypoxylus dichotomus takarai Kusui,1976 - 沖縄本島クメジマカブト Trypoxylus dichotomus inchachina Kusui,1976 - 久米島ツチヤカブト Trypoxylus dichotomus tuchiyai Nagai,2006- 口永良部島  ビークワ編集長の土屋利行にちなむ。ツノボソカブト Trypoxylus dichotomus tunobosonis Kono,1931 - 台湾ツヤカブト Trypoxylus dichotomus politus Prell,1934 - タイカブトムシ屋久島・種子島亜種 Trypoxylus dichotomus shizuae Adachi,2017 - 屋久島・種子島生態[編集]基本的に夜行性で、昼間は樹木の根元、腐植土や枯葉の下などで休み、夕暮れとともに起きだして餌場まで飛んでいく。夜明け前には再び地面に潜り込むが、餌場争いに負けたなど、何らかの理由で夜間餌にありつけなかった場合や産卵期のメス個体は日中でも摂食を続けていることがある。

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